西宮市は1983年に平和非核都市を宣言した。
その宣言文はパネルとして額装され、市内の学校や公共施設に掲示されている。
平和非核都市宣言
青い空、緑の大地、そして、おだやかな暮らしは、
わたくしたち西宮市民のみならず、
平和を愛するすべての人の願いです。
そんな平和への願いとうらはらに、
世界はおろかにも人類を何十回も滅ぼすほどの
核兵器を蓄積しました。
核戦争に未来はありません。
恐ろしい核兵器をつくってはならないし、
持ってもいけないし、持ち込ませてもなりません。
わたくしたちは、
世界中に核兵器の廃絶を強く訴えるとともに、
平和を愛する社会をはぐくみ、築くことを誓い、
平和非核都市をここに宣言します。
昭和58年(1983年)12月10日
西 宮 市
また、平和非核宣言都市であることを表現するモニュメントが市内各所にある。
それらは、市民に対して、また市への来訪者に向けて、西宮市が平和非核都市を宣言していることをアピールしている。
大阪方面から国道2号線を西に進むと、武庫川を渡って西宮市に入る。
最初の信号を越えた北側に、平和非核宣言都市西宮の看板が立っている。
1999年3月に設置されたもので、市立西宮高校美術部生徒のデザインによるモニュメントも並んでいる。
鉄道の玄関口ともいえるJR西宮駅南側のロータリーに設置されたのが「平和の交響」と題されたモニュメントである。
市のホームページには、こう説明されている。
全体のデザインは、平和を願う「手を合わせ(合掌)、手をつなぐ」形を基本イメージとし、西宮の豊かな自然を育む山と海(波)を表現。
大空に飛び立つハト、左右から噴き出し、一つになって流れ落ちる水も平和のイメージです。
世界の各地では、現在もなお、民族・部族抗争、宗教対立などで多くの尊い人命が失われています。平和モニュメントは、みんなが平和に暮らせる社会をめざし、平和への願いとその尊さを次代に伝える象徴として、また、阪神・淡路大震災からのふるさとの復興の思いも込め、建設に取り組まれました。
終戦50年を機に平和への願いや平和の尊さを次代に伝える目的で設置された。
3種のデザインを候補として市民に投票を呼びかけ、選ばれたのが「平和の交響」である。
この投票は10歳から参加可能で、小学校4年生の子どもも投票した。平和的手法によるモニュメントといえる。
西宮にある有名施設としては甲子園球場が筆頭に挙げられる。
全国から観客が訪れる球場前、甲子園駅から球場への通り道に、平和非核宣言都市にしのみやの標柱が設置されている。
同様の標柱は、北部のJR西宮名塩駅前、西の阪急夙川駅前にも続いて設置された。
市役所玄関前には平和非核都市宣言の全文を刻んだ石碑が置かれている。
隣にあるのは、広島市から寄贈された旧市庁舎の被爆石である。
国際平和年を記念して1986年に設置された。
物言わぬモニュメント類は、日常の中にあれば見過ごしがちだが、折にふれ平和を意識させるためには、有効なものであろう。
2007.6.15.